筑紫の国の片隅で…

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各政党が「脱原発」を目指すというが

社会生活や経済活動の基盤となる電力エネルギー問題を、選挙のための争点にしようとしている
ようですが、短期間で軽々に論じるべきで問題ではない筈です。
電力の安定供給、代替エネルギーの開発・確保、経済への影響などの問題を総合的に検討し、
議論を重ねたうえで、将来への具体的な道筋を示してもらいたいものです。
原子力発電は、エネルギーの安全保障や地球温暖化防止対策、経済性で優位な反面、使用済み
核燃料や放射性廃棄物の処理・処分という難しい問題を抱えています。
だからと言って、原発反対派の人達が主張するように、原発の運転を停止すればそれで済むこと
なのでしょうか・・・? 原発は止まっていても、維持管理費がかかります。
原発を廃炉するにしても、時間と費用と人材が必要になります。
1基の原発を廃炉するには30~40年間の時間が必要であり、維持管理費を含めて数千億円の
費用が必要になります。
54基すべてを廃炉にするには、10兆円を超える費用がかかるうえに、放射性廃棄物の処理などの
経費を含めれば、30兆円を超える膨大な費用が必要となってきます。
この費用はいったい誰が負担するのでしょうか?
一方、廃炉作業を安全かつ着実に進め、使用済み核燃料や放射性廃棄物の処理・処分を推進する
ためには、最先端の原子力技術と人材の維持、技術の継承が欠かせません。
日本の原子力技術は世界でもトップクラスで、商用原子炉の製造技術は日本がリードしています。
しかし、原発行政の転換で先の見えなくなる原子力業界に、優秀な人材が集まるでしょうか?
現役の技術者達は、日本国内に仕事が無くなるのですから、需要が有る海外に仕事を求めて流出
してしまう筈です。特に技術者を欲している、韓国や支那は大歓迎してくれるでしょう。
「脱原発」を選択した海外の国々において、どこも人材と技術の維持に苦しんでいるのが実情です。
原発反対派の人々は、こうした問題を取り上げようとはしません。
更に問題なのは、エネルギー自給率が僅か4%の我が国は、火力発電に必要な石油、液化天然ガス
などの燃料は、海外からの輸入に依存しています。特に石油は政情不安定な中東からなのです。
もし中東で紛争が勃発すれば、ホルムズ海峡が封鎖される可能性が高く、ここを通過して輸入される
石油の約85%、LNGの約20%がストップし、エネルギー危機に陥ってしまいます。
燃料不足で火力発電が出来なくなったとき、水力発電や太陽光発電、風力発電などで、どれだけの
電力が賄えるというのでしょうか?日本社会は想像すのも恐ろしい状況になることでしょう。
太陽光発電や風力発電など、自然環境に影響を受ける再生可能エネルギーは、日本の気候には
適さないのが現実ではないでしょうか。
原子力発電を今すぐに放棄するのではなく、多様なエネルギー源の一つとして利用を続けながら
再生可能エネルギーの普及やメタンハイドレードなどの新エネルギーの開発を進めるのがいいので
はないかと思っています。
福島の事故の教訓を生かし、技術を磨き安全性を高め、それを世界と共有することが、原発先進国と
しての日本がとるべき役割ではないでしょうか。


月刊誌『Voice』に掲載されていた、澤 昭裕氏(21世紀政策研究所 研究主幹)の論説が
参考になると思いますので、抜粋転載させてもらいます。
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「原発は嫌だ。でも値上げも嫌だ」論の愚昧


□国民経済や雇用の観点こそが重要だ
「反原発」の立場にある人は、大飯原発3、4号機の再稼働がなくても、今夏、関西電力の
管内で「電力は足りていたではないか」と主張する。
だが大飯原発が再稼働していたからこそ、夜間電力を使って揚水発電をそうとう活用する
ことができた。さらに中部以西の電力会社からの融通や、老朽石油火力発電をフル稼働
させることで、なんとか凌いでいたというのが実情だ。
火力発電所の事故などに備えて、電力には一定以上の供給予備率が必要である。
大飯原発が再稼働していなければ、今夏、関西電力管内では計画停電実施の危機に瀕して
いただろう。「綱渡り」をなんとかこなした電力供給状態をこのままにして、来年以降も綱から
落ちずに渡り続けていくことができるのだろうか。
 だが、問題は供給予備力の面だけではない。
(略)
日本に原子力発電が必要な理由は、量の安定供給の問題だけではなく、まさに国民経済や
雇用の観点からなのである。
政府やその他の研究機関の発表によれば、火力代替にともなう総燃料コストの増加分は、
2012年度で3兆円から4兆円強と推計されている。つまり今年度は、電気を生産するために、
1日約100億円をどぶに捨てているようなものだ。
というのも、化石燃料はすべて海外からの輸入になるので、その購入費用はすべて海外に
支払われるからだ。その結果、日本の貿易収支は赤字に陥り、GDPは減少してしまう。
そのうえ、原発が停止している日本は、化石燃料の購入交渉力がゼロに近い。
高値をふっかけられても、それにNOをいうだけのカードがなくなっているからだ。
原子力発電に対して、これまで日本はすでに膨大な投資をしてきた。
安全に稼働させるのは大前提だが、償却が終わった資産はフル活用しなければ、低廉な
ベースロード電源のオプションを、日本は捨てることになる。
(略)
一部には、企業の経費に占める電気代の割合は大した額ではない、エネルギーの値段が
少しぐらい上がっても国民は受け入れる、などと安易にいう人がいるが、それは現実社会の
中で苦労している人びとへの、配慮に欠けた暴論ではないだろうか。
企業とひと言でいっても、大企業か中小企業か、製造業か非製造業かで、電気料金のダメージ
は大きく異なる。地域経済の中枢を担い、これまで日本の製造業を支えてきた優れた技術を
有する企業でも、電気料金値上げが死活問題になる企業が多く存在する。
血と汗が滲むコスト削減努力を、不断に続けている製造現場からすれば、1%の電気料金の
アップでさえ大きく響くのである。
一方、家庭の電気料金はどうか。
日本エネルギー研究所の試算では、先の約3兆円のコストを電気料金に単純に上乗せすると、
家庭の電気料金は18.2%上昇する。
そのアップ率も問題だが、さらに問題なのは、電気料金は「逆進性」が高いことだ。
これは「所得の低い人ほど、負担の割合が大きくなる」ことを意味する。
消費増税の議論でも逆進性の高さが指摘されるが、嗜好品にも一律に課税される消費税と
比べると、電気料金は電気という生活必需品そのものの値段なので、さらに逆進性は高い。
低所得者層はもともと電気の使用を切り詰めているため、追加の節電によって使用量を減ら
すことは難しい。
電気料金が上昇した場合には、ただでさえ生活が厳しいのに、さらに耐乏生活を強いられる
ことになる。
日本は国際的に電気料金が高いといわれながらも、原子力発電があって、何とかこれまでの
電気料金でやってこられた面もある。
結局、肝心要の議論は、原発をやめることでどこまで日本経済がもつか、なのである。
「原発は嫌だ」「でもお金も出したくない」では解決策は見いだせない。


□革新的な技術開発が進まない恐れ
再生可能エネルギーの導入を促進するために、7月からわが国に導入されたFITだが、
この制度は問題が多い。
第一の問題点は、ユーザー負担があまりに高すぎることだ。
事業者側の露骨なロビイング活動の結果、価格を決める中立的な委員会のメンバーから、
ユーザー代表の委員が排除される、という経緯もあった。
法律上、導入後3年間は、事業者の利益が実質的に保証されることになっていることもあり、
買い取り価格はロビイングしていた側でさえ、驚くほど有利なものになったといわれている。
むしろ、この制度がいかに国民負担を生じせしめるものなのかを、できるだけ早く国民に実感
させた方が良いという「善意」で、価格を設定したのではないかと思わせるくらいの水準だ。
メガソーラーなどは、現在ドイツで設定されようとしている価格の2倍近いものになっている。
ここまで経済原理を無視し、ユーザーの利益を蔑ろにしたプロセスで行なわれた価格設定の
仕組みは、今後負担が急増するにしたがって、その不透明性が大きな問題になるに違いない。
第二の問題点は、この制度では革新的な技術の開発が進まない、ということだ。
仮に、きわめてチャレンジングな研究開発に取り組んだとすれば、それが実用化される数年先
には買い取り価格は下がっているだろうから、その投資は回収できないのである。
それよりも、陳腐な技術を使った発電設備を導入して、買い取り価格が高いうちに稼ぎを確定
させたほうが楽だし、儲かる。
たとえば太陽光発電であれば、1kW時当たり42円の買い取り価格が値下がりすることなく、
20年間も続く。さらに、同じ太陽光発電事業者間での競争もないため、自らコストダウンのため
の技術開発をしようという気になるはずがない。
初期投資は大きいが、徐々に費用が償却されて電気料金が安くなっていく原子力発電とは、
メカニズムが大きく異なる。
FITでは、再生可能エネルギーの導入が進むほど、ユーザーの負担額が積み木のように積み
上がっていくのだ。
再生可能エネルギーは、自然からのエネルギーを原料とし、化石資源を消費しないため「CO2
出さない」「環境にやさしい」エネルギーとされている。しかし、「周辺環境にやさしい」わけではない。
たとえば、風力発電には低周波や騒音、景観破壊の問題がある。
風車の羽根部分に鳥が当たってしまう「バードストライク」の問題も深刻だ。
太陽光発電であれば、その廃棄コストや方法をどうするのかといった問題があり、これらの問題も
いまだに検討課題ともされていない。
有害物質が含まれていないか、含まれている場合にはどのように廃棄すればいいのか。
それまでに事業者が撤退していたらどうなるのか。こうした問題への準備は、再生可能エネルギー
ブームのなかで顧みられてもいないのである。
急いで導入しようとした自治体は、将来困った問題を抱えることになるだろう。
結局、再生可能エネルギーの発電所もまた、他の電源と同様「迷惑施設」であることに変わりはない。
立地にはさまざまな補償措置が必要だし、周辺環境に与える影響もけっして少なくない。
ただ日本国内には立地条件を満たす場所が限られているため、多くの人が自分の地域に建設される
ことを想像できないでいるだけだ。
再生可能エネルギーは、そうしたいわゆるNIMBY(自分のそばに迷惑施設は要らない)問題を乗越え
ていけるのだろうか。
今後、日本で再生可能エネルギーの導入が進むかどうかは、それがどこまで「利権化」されるかだと
いえる。その点では、原子力を広めるための構図とまさに同じだといえるかもしれない。
7月に導入されたFITはその下地をつくった。
ただ、再生可能エネルギーは質、量、コストのいずれの面でも未熟な段階にある。
開発や実用化への挑戦自体は歓迎だが、根拠もなく過度の期待を抱くのは危険な賭けというほかない。
国家の根幹をなすエネルギー政策。だからこそ、民意を問うために、各政党はマニフェスト
エネルギー政策を具体的にどうするか、はっきり書くべきだ。
(後略)

 

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